前編では、「株式会社 鯖や」の代表取締役社長で一般社団法人日本さば文化協会代表理事、そして “サバ博士”である右田孝宣(みぎたたかのぶ・以下右田兄)氏に『 生産者~消費者を繋げるサバプロジェクト 』についてお聞きした。
 今回は、その集大成ともいえる和歌山の「SABARビレッジ 」についてお聞きする。そしてその孝宣氏の縁の下の力持ちとして奮闘する副社長の右田孝哲(みぎたたかのり・以下右田弟)氏にも、その思いをお聞きした。

「株式会社 鯖や」代表取締役社長 右田孝宣氏

――前編では、鳥取の「お嬢サバ」、小浜の「よっぱらいサバ」についてお話をお聞きしました。しかし、このネーミング…インパクトありますよね(笑)

右田兄「おかげ様で『 よっぱらいサバ 』は全国の養殖サバで認知度第2位となりました。ちなみに1位は『 お嬢サバ 』 (笑)」

――1位2位独占ですか!

右田兄「 これは僕の自慢です(笑) 」

――そしてさらに、3/8にプレオープンした和歌山県田辺市の「和歌山県おさかな村」の一角に、サバのグルメエンターテイメントパーク「SABARビレッジ和歌山田辺店」を作られましたよね。

右田兄「 これは、今までやってきたサバプロジェクトの集大成です。まず、ここには何があるかというと…」

■ さば料理専門店「SABAR+」

とろさば棒寿司(5貫)
1,290円
若さば串焼き5種盛合せ
980円

サバしかいないレストラン。眼前に広がる海を眺めながら、釣り堀で自分が釣ったサバの姿造りなどが味わえる。また、食べながら海の中を泳いでいるサバを鑑賞できるシステムも予定されている。

■ こりゃ!うめぇサバの「さば釣り堀」

梅エキス配合の飼料で約1年かけて大切に育てた 和歌山のブランドサバ「こりゃ!うめぇサバ」が泳ぐ釣り堀。小さいお子さんまで誰でも楽しめると共に、サバの強い引きは大人でも釣り気分を満喫できる。

■ さばさばなさば展「さばらぼ」

サバのすべてが学べるサバ研究所。みんな大好きのサバの「実は・・・・」がたくさん。

■ おこサバこサバに「エサやり体験」

水槽で泳ぐ“子供のサバ”に、とびきり美味しいエサをあげる体験コーナー。

右田兄「…というコンテンツがあります。また、さかな村自体にも『浜焼きBBQ』や『海上釣り堀』『地魚の料理教室』があるので、いろんな形で楽しんでもらえますよ」

SABARビレッジの詳細はコチラ

――まさにサバワールドですね(笑)

右田兄「コンセプトは、『食+体験+学び』です。釣り堀で釣ったサバの姿造りを、海を眺めながら食べることができるうえ、サバの研究所でサバのことが学べる。 食べることや体験を通じて、魚や漁業について自然と知ることができる、ということです」

――昨今、日本人の“魚離れ”傾向が強いなか、素晴らしい試みだと思います。

右田兄
「このSABARビレッジを通じて、一次産業、つまり日本の漁業についてもっと知ってもらえたらと思っています。外食というのは一次産業の窓口でもあるので、お客さんにも生産者の思いが伝わるような店づくりをしていきたいと思います」
「お客さんが食事を楽しむこと。それが日本の文化でもある一次産業を助けることになり、それがまたお客さんにより良い食を届けることになる。そういう循環を作っていければと思っています」

日本の水産全体を考える兄。それを陰で支える弟

――さて、すみません。孝哲さん、お待たせしました(笑)。お兄さんにばっかり話を聞いてしまって。このように日本の水産全体の事も考えながら様々なチャレンジをされているお兄さんのことを、どのように思っていますでしょう?

兄である右田孝宣氏(左)、 弟の右田孝哲氏(右)

右田弟
「 私は、主に財務や人事といった所を担っています。兄である社長がアイデアマン。特に産地に行っての活動が多いので、そこで得てくるアイデアはほんとに新鮮です」
「日本の水産という大きな視点で考えていて、これからも自由に羽ばたいて欲しいので、私はそれを裏で支える役割をしていこうと思っています。兄はほんとにすごい勢いで走っていきますので、そこで何かこぼれ落ちるようなものがあれば私が拾っていくと(笑)」

――まさに縁の下の力持ちですよね。環境的には新型コロナの影響も大きいと思うのですが、その現状、そして対策はどうされているのでしょうか?

右田弟「おかげ様で、私たちの店での被害はまだマシな方ではないかと思いますが、それでもアルバイトのシフト調整などはやらざるを得ない状態です。どれぐらい続くか分からない、先が見えない、というのが一番堪えます。正直、今後2~3か月の対策しか打てないですからね」

――具体的にはどんな対策をされていかれるのですか?

右田弟「店内でしっかり衛生管理していますし、またそれをしていることを店頭で掲示するなど、お客さんが安心して利用して頂くための手法もやっていくつもりです。

――人事も担当されていると。飲食店の求人難はよく聞く話ですが、どんな状況ですか?

右田弟
「人材については、現状それほど困ってはいませんが、やはりSABARで働いていくことに誇りを持ってもらいたい。サバにまつわる様々なことを知ってもらって、サバ愛を持って働いて欲しいと思いますね。特にSABARビレッジは、従業員にとっても教育の場になるのではないかと考えています」
「今後、終息が見えてきてポツポツとお客さんが出てきた時に、どうすればウチの店を選んでもらうか。そのための施策もいろいろと考えています。出来ることはまだまだたくさんあるばずなので、出来ることは全部やっていきたいと思っています」

右田兄
「従業員に危機感を持ってもらうチャンスでもあると思います。今まで何もしなくてもお客さんが来てくれていたのが、そうではなくなっています。お客さんに来てもらうために何が大切なのかを個人個人が考える、いい機会だと思っています」
「4月には、またみんなが驚くようなドでかい試みも発表していくつもりです! お楽しみに!!」

新型コロナの暗いムードも吹っ飛ぶ、明るいこの2人。
様々なアイデアを次々打ち出して、この苦難を乗り越えていくことは間違いなさそうだ。
今回のインタビューで思ったことは「外食する動機」をしっかり考え、お客さんに「外食のメリット」をしっかり感じてもらうことなんだろうと思った。
店それぞれが持つ「来店するメリット」を考える、よい機会なのかもしれない。

KGB編集長 宮本昭仁

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