秋の味覚といえば「秋刀魚」
もう食べましたか?
今回は、秋になると美味しくなる「秋刀魚」について、食と健康をご紹介します。
秋刀魚は良質のたんぱく質と豊富な不飽和脂肪酸
秋刀魚は北太平洋や日本海に広く分布し、数百万から数億という大集団で回遊します。夏ごろオホーツク海方面で過ごし、秋になると青森、房総沖へと南下します。
その途中、各沿岸で漁獲されて市場に出回るようになります。
秋の秋刀魚は産卵を控えているため脂のノリが良くなります。
それゆえ旬は秋と言っていいでしょう。
脂の量は旬の時期とそうでない時期には大きく変動します。
最も脂がのっている時期になると、脂質20%以上になりますが、そうでない時期は数%ほどしかありません。
秋刀魚の栄養素とその働き
秋刀魚のたんぱく質はとても良質で、牛肉に匹敵するほどの栄養価を持っています。
たんぱく質は、体内で筋肉や臓器などの構成成分となり、生体反応の触媒として働く酵素、機能を調節するホルモン、神経伝達物質などになります。
不足すると、体力やスタミナがなくなり、疲れやすくなります。
EPA、DHAで生活習慣病を予防
秋刀魚の魅力は脂質。
秋刀魚の脂にはEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。
EPAは体内で作ることができない脂肪酸のため、
食材から摂らないと補えません。
EPAは、血小板の凝集を抑え、血栓を溶かす作用があります。
悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やしたり、血液中の中性脂肪を減らします。そのため、脳卒中や高血圧、動脈硬化、心筋梗塞を予防したり、脂質異常症を改善するのに役立ちます。
DHAも悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やしたり、血小板の凝集を抑えたりするので、生活習慣病を予防します。
さらにDHAは、脳細胞を活性化させるので、高齢者なら痴呆予防に、子供は学習能力や記憶能力の向上に作用します。
また、EPA、DHAには、がんの発生を少なくし、がん細胞の移転を抑え、抗癌剤の副作用を軽くする働きがあることもわかっています。
秋刀魚のビタミン類
秋刀魚は、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12、ナイアシンを多く含みます。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、血中濃度を一定に保ち、骨や歯への吸収を助けます。また、筋肉の機能をよくします。
不足すると、骨粗しょう症になったり、大人では骨軟化症、
子供ではくる病になったりします。
豊富なビタミンEが血行を促進して貧血予防
ビタミンEは過酸化脂質を分解し、細胞膜や生体膜を活性酸素から守るので、心疾患や脳梗塞を予防します。
血行障害によっておこる肩こり、頭痛、痔、しもやけ、冷え性などの症状を緩和させるのにも役立ちます。
ナイアシンは、脳神経の働きを助けたり、血行を良くする作用があります。
血行が良くなれば、冷え性や頭痛を改善して、食欲増進にもつながります。
血合いのレチノールが粘膜を守り、ビタミンB 12が貧血を予防
秋刀魚の血合には、ビタミンB 12やレチノールが含まれています。
ビタミンA (レチノール)は、皮膚や角膜、膀胱、子宮などの粘膜を健康に保ちます。
不足すると目は潤いをなくし、肌はカサつき、消化器官が損なわれ下痢になったり、風邪をひきやすくなります。血合は苦いので避けがちですが、鉄分も多いので、貧血が気になる人は、食べてみてください。
注意すべきこと
秋刀魚の脂は時間の経過とともにどんどん酸化され、過酸化脂質に変化していきます。鮮度が落ちたものを食べると、下痢になったりします。
また、アレルギー体質の人も蕁麻疹が出ることがあるので、注意してください。
ひとこと
いかがでしたか。
秋刀魚は美味しさだけでなく、優秀な食材。
最近では漁獲量が減っているので、少し心配ですが、この秋、「秋刀魚」を見かけたら、ぜひ食べてみて下さいね。
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監修:真野稔子(まのとしこ)
【管理栄養士】 モデルから食のアドバイザーへ転身。
食は健康の基本であり、そして美の基本であるという考えから、シンプルでナチュラルな食生活を提案。
モデル事務所、エステサロン、病院、企業、行政機関にて栄養指導を行う。モデルの経験を生かし、キレイに痩せる食事指導においては定評を得ている。
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