日本三大夜景のひとつに数えられる、神戸の「掬星台(きくせいだい)」。
「神戸の夜景ってことは、六甲山でしょ?」と思っている人も多いようだけど、
掬星台は摩耶山にある。
まあ、同じ六甲山地ではあるが、摩耶山の方がやや街との距離が近い分、くっきりとした夜景が楽しめることから、日本屈指の夜景スポットとなったのだ。

その摩耶山ある宿泊施設が「オテル・ド・摩耶」。ここは神戸市が手掛ける国民宿舎だ。国民宿舎と聞くと「安い分、内装や料理がチープ」というイメージを持つ人も多いだろうが、ここはまったく違う。


価格は国民宿舎ならではでリーズナブルだが、ここには日本三大夜景と、あともう一つ、「リストランテ・エルベッタ」がある。今年6月、浅井卓司が総料理長に就任したことで、ここは突然クオリティアップした。

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総料理長 浅井卓司

「イタリアンの巨匠だ」「いや、イタリアンの異端児だ」「武闘派だ」と、さまざまな異名で知られる浅井卓司は、 ヴェネツィア、ウンブリアなどイタリア各州の星付きレストランで経験を積んだ 後、自身の店「イ・ヴェンティチェッリ」で活躍。今回、知己からのたっての願いがあり 「リストランテ・エルベッタ」 総料理長に就任した。

彼を語るうえで欠かせないのが“中華の香り”だ。伝統的なローマ料理に、中華で使うような様々な香辛料をうっすら織り交ぜたり、時には梅干しなどの和食材も平気で使う。彼が“異端児”扱いされるのはこの特性からだ。
彼がここに来たことで、 「オテル・ド・摩耶」は国民宿舎から本格派のオーベルジュへと変化することとなった。

彼の魅力を最もよく語るのが「Speciale(スペチャーレ)コース」(14,520円) 」。丹波の鹿肉、明石産穴子など地域ならではの食材を使いつつ、例の浅井マジックで新体験のイタリアンへと変貌させている。
コースは4,840円からと気軽に楽しめるコースもあるので、まずはそれから味試しをしてみるのもいい。今回は、リニューアルにあたって招待を受け、そこで出された標準的なコースを紹介。

ヘルシーなコッパロマーナと“但馬鶏”レバーペースト ケシの実を和えて

レバーペーストの凝縮された旨味に、ケシの実の軽やかな食感が心地よい一品。

カジキマグロと水茄子の生ハムメロン見立て

メニューを見ずに食べると、これが水茄子とはとても思えない。この得も言われぬ甘さはどこからくるのか…

スパゲッティーニ “丹波篠山”鹿肉ラグーソース シナモンの香り

まずは全体に染みわたったラグーの肉の旨みの充実感があり、その後ふわりと漂うシナモンの香りがさらなる食欲を生む。濃厚なのに最後まで食べ飽きない。

“丹波黒どり”のロースト

肉々しい見た目通り、地鶏の旨味をフルで堪能できる一品。口の中でブリンッとはじける弾力が、満足感を高めてくれる。

ドルチェ ファンタージア

甘さと爽やかさが同居した、完成度の高いドルチェ。

以前「イ・ヴェンティチェッリ」で頂いた料理に比べて、一見すると角が丸くなったようにも思うが、食べてみると浅井ワールドがしっかり隠れていた。この摩耶においてさらなる進化を遂げたようだ。
何かこう、覚醒したような感覚を得られるイタリアン。きらめく夜景が、いっそう美しく映える。

ちなみに、「オ・テル・ド摩耶」に宿泊さえすれば、その夜景を見ながらジャグジーに入ることができる。借り切ってジャグジーパーティもOKらしい。料理で覚醒されたら、ここで夜景と星空を楽しみつつ心を解きほぐしたい。

取材・文 編集長 宮本昭仁

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店名リストランテ エルベッタ 
住所兵庫県神戸市灘区摩耶山2-8 
TEL 078-862-0008
営業時間 11:30~14:00(L.O)、17:30~20:30(L.O)
休日なし

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