厳選された国産牛を独自のルートで仕入れ、驚くべき高コスパを実現している焼肉店「鶴兆」。
1989年に平野の長吉にプレハブ小屋のような小さい店舗を出して以来、地域住民の間で口コミで人気が広がり、八尾や高石、蛍池などにも出店、東京にも進出して今や全11店舗を展開している。
客単価は、お酒もしっかり飲んで5,000円前後、めちゃくちゃ安いわけでもないが、決して高くはない。それに、食後には「この値段でええのか?」と思うぐらいのウマい肉が出てくる。

香芝店。平日で、しかも150席もあるのに夕方にはほぼ満席になってしまった

どうやら大々的なプロモーションもしておらず、大阪中心地には店舗を出していないため意外と知らない人も多いが、出す店すべてが地域で圧倒的な人気を獲得。平日でも満席続きという状態だ。

天井が高く開放感のある店内。木の風合いをそのまま利用

「この店の高コスパの秘密はいったい何なんだ?」。気になったので直撃インタビューすることに。上品な雰囲気が漂う女性オーナー石井久恵さんと香芝店でお会いすることになった。まずはこの店の歴史から聞いてみよう。

看板もない小さな店からスタート

オーナーの石井さん

―――創業当時はプレハブ小屋のような店だった、と聞いていますが。

石井「そうです。今から30年前、主人と2人で始めたんですが、ホントに小さい店でした。看板もないぐらいで」

―――看板もなかったんですか!

石井「そうなんです(笑)。知り合いがまたその知り合いを連れてきてくれる感じでした」

―――そうやってお客さんが来られるようになった理由はなんでしょう?

石井「そうですね…まあ、そんな店でしたから、ともかくお客さんに気に入ってもらうために原価度外視でいいお肉を厚く切って出した、ってこともあるでしょうけど…。当時、焼肉店といえばオジサンがお酒を飲みにくるための店ばかりでした。でもウチは家族で楽しめる店にしたかった。それで家族連れが来てくださった、ということはありますね」

―――まあ今でこそ焼肉チェーンではファミリー向けの店も多いですが、当時だと、その先駆けってことになりますね。

鶴兆のタレは、肉の旨みを邪魔せずさっぱりした風味

「そうですね。当時そういう店は無かったと思います。今でも、小上がりの座敷席も用意している店もあってファミリーで楽しんで頂けます。あ、あとは、ウチのタレを気に入ってくださるお客さんも多いです。これは創業当時、試行錯誤を重ねて作ったのですが、そこからずっと同じレシピで作っていますね」

―――あーこのタレね。(少し味見して・・・)何でしょう? 一般的なタレとは違いますね。。。さっぱりとしてキリっと立ったウマさがあります。

石井「モミダレ(事前に肉を漬けておくタレ)とつけダレも、それぞれ合うものを研究して作ってます」

―――まずは・・・このキムチからして美味しそうなんですが。

ごろっとデカいキムチ

石井「でしょ? 酸味は少なめ。味の深みが出るように手作りしています」

―――(食べてみると…)うん! 普通の焼肉店って、なんかキムチも酸っぱい感じですが、これはまろやか。さっそくご飯に合わせたくなる味ですね。

いや ぶ厚すぎでしょ!特選厚切タンの衝撃!

―――では本丸のお肉についてはどうでしょう?

石井「私の店では国産牛しか使わず、しかも厚く切ってお出ししています。何はともあれ、特選厚切タン、食べてみてもらっていいですか?」

特製厚切タン 1,800円

―――あ、はい、ありがとうございます。ってナニこのぶ厚さ…! (焼いて食べてみる)いや、何だこれ! 口の中でブリンとはじける食感、噛むほどに滲み出るウマさ…

石井「タンの中でも一番おいしい部分を使ってますからね(笑)。 ウチの店でも一番の人気メニューです 」

―――正直、これだけを食べに来てもいいレベル・・・気を取り直して、赤身はどうでしょう?

石井「上ロース、上カルビ、上ハラミをどうぞ」

―――ってか、これもまた分厚い! 角モチみたい!

石井「これもしっかり厚めに切ってます。7ミリぐらいはありますね。いいお肉を安く食べてもらいたい、という思いは創業当時から変わってませんから。焼き方は『片面7割、ひっくり返して3割』という感じです。まずはあまりイジらずにじっくり焼いてくださいね」

上ロース、上カルビ各1人前1,500円、上ハラミ1,300円
上ハラミ。あまりにウマそうなので、早く食べたくてピントずれる

―――どれも分厚いのに柔らかい。というか、柔らかい肉質に自信があるから厚く切れるのか。なんせ口の中がウマ汁で満たされる! たまらん!

石井「では次はホルモンを。レバー、ミノ、ハツ、テッチャン、アカセン、アゴタンですね」

―――またこれも分厚いし! どれも部位ごとの味と食感がしっかり際立ってますぅ!

カルビスープは3回ぐらいウマい

石井「ウチは肉ばかりではないですよ。はいコレ! カルビスープ!」 (オーナーさんもなんかテンション上がってきたー!)

カルビスープ 780円

―――もう…この見た目のセクシーさにヤラレるぅ! ほんで、牛スジがゴロゴロ入ってますやん!(食べてみると…)それほど辛くない?でも、ひと口食べたら、口の中で3回ぐらいウマい! あらゆるウマさが押し寄せてきて、ずっと口の中がウマい! 値段は・・・780円? 1200円ぐらいでも納得できる内容です!

石井「牛スジを4時間ぐらい煮込んで作ったスープですからね。お客さんからは『これも専門店出したら?』と言われるほど気に入ってもらってますね。香芝の地タマゴも使ってます」

――― いやぁ…恐るべし、鶴兆。正直、ここまでとは思いませんでした(失礼やな)。

本店リニューアルオープンで“ありえん”サービス

石井「実は創業からの本店『長吉本店』が、11月1日にリニューアルオープンしたんです。その本店では、11/15金までは2名以上のご来店で1名様分の飲食代金無料ですよ」

―――え? いや、何してんすか。サービスしすぎでしょ。半額ですやん! 2週間ぐらいずっと半額ですやん!(心の声「…やばい。絶対予約入りまくってる。はよ電話せな」)。

これ、大阪の中心地に出したらどうなっちゃうんだろう…。
ほんと、鶴兆があるエリアの人がうらやましい。

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取材・文 KGB編集長 宮本昭仁

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