「トクホ」という単語、もはや知らない人は少ないだろう。 身近なところでは「トクホのお茶」がなじみ深いところだ。 けど、それを「説明してよ」と言われると困る。今回は、そんな「トクホ」の疑問を調べてみた。
①「トクホって何?」

トクホ、つまり特保とは「特定保健用食品」のこと。 「サプリメント」「栄養補助食品」「健康飲料」などいわゆる「健康食品」と称する商品は数多く出回っているが、これに法令上の明確な定義がある訳ではない。中には、「〇〇に効果がある」「〇〇に効く」などと表示されているものの、本当に効果があるかどうか怪しいものもあり、金銭的、健康的被害が出かねない状況にあった。
そこで、こういう怪しげな健康食品によってトラブルが起きないよう「国が認めた健康食品」という認証を作って、その認証を受けた商品だけが保険的効能を商品に表示することができるようにしたのが「特定保健用食品=トクホ」、という次第。
現在消費者庁が公表している正式な定義では「からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品」とされている。
特定保健用食品として販売するには、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の厳格な審査を受ける必要がある。つまりトクホとして販売さている商品は、その有効性や安全性を国が認めた、ということ。
②なんか新しく出てきた機能性表示食品って何?
トクホとは別に、2015年に「機能性表示食品」が加わった。
これも、トクホと同様に保健機能を表示することができる食品のことだが、こちらは消費者庁長官の個別の許可を受けたものではなく、個別の審査も行われていない。その代わりに、その保健機能の科学的根拠や安全性などを事業者の責任で調査する必要があり、それを消費者庁へ「届け出」しなければならない。
ざっくり言えば「国が審査した訳じゃないけど、ちゃんと企業が調査してて科学的根拠はあるよ」という商品。トクホのように表示できるマークがあるわけじゃないので、それぞれ企業の責任で機能性を表示している。
③「トクホ茶を飲むと体脂肪は減るの?」

トクホのお茶のなかには「体脂肪が気になる方に適している」と謳っている商品がある。トクホ茶として代表的な、サントリーの「伊右衛門 特茶」もそうだ。
この商品は、「ケルセチン配糖体」の働きにより、体脂肪を減らすのを助ける、とのこと。 ほかにもメーカーや商品ごとに「どういう保健機能があるか」については微妙に違っている。
「伊右衛門 特茶」=「 体脂肪を減らすのを助ける」
「黒烏龍茶」=「脂肪の吸収を抑える」
「綾鷹 特茶」=「 脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにする 」
これらについては、国も認めた保健機能なので、まあ信用して良いのではないか。あとは自分の状態に合わせて適切な商品を選ぶって感じ。
④代表的なトクホ茶「伊右衛門 特茶」に配合されているケルセチン配糖体って何!

ここまで調べてきて、サントリーの「伊右衛門 特茶」に配合されているというケルセチン配糖体とは何ぞや、ということで調べてみた。
野菜や果物に含まれるポリフェノールのひとつ で、特にたまねぎに含まれていることで知られているらしい。そのケルセチンには、抗酸化作用、抗炎症作用、降圧作用など、さまざまな生理作用があることが報告されている。
さらに脂肪分解促進作用やコレステロール低下作用などがあるみたいだが、体脂肪に対して何か効果があるのかどうか、という報告はされてこなかった。どうやらケルセチンは溶けにくくて体内に摂取しても吸収されにくい性質を持ってるらしい。
ところが、糖と組み合わせて「ケルセチン配糖体」という形にすると水に溶けやすくなり、体内への吸収が高まることがわかってきた。そこでサントリーは、このケルセチン配糖体を配合した清涼飲料水を実際に人が摂取した際の体脂肪低減効果の試験を行った。その結果、 ケルセチン配糖体が脂肪分解酵素を活性化させ、体脂肪低減効果が確認できたのだ。
ケルセチン配糖体を配合した特茶でもその効果を調べている。特茶を1日1本継続飲用し、ケルセチン配糖体を含まない一般的な緑茶と効果を比較した結果、8週目から体脂肪の低減が認められた。
ということは、毎日飲んでいれば2か月ぐらいで体脂肪が減る!? リモート文化はこれからも拡大するだろうから、日々の運動量はおそらく減るばかり、体脂肪は増えるばかりになりそうだ。日々の水分摂取をトクホ茶に変えることで効果が期待できるなら、 これはちょっと試してみたい。
関西グルメブロガーズ 編集長 宮本昭仁